不妊症部門

体外受精について

■排卵の管理法

管理法には自然周期、低刺激周期、刺激周期の3種類があります。当院では、皆さんの負担(特に体への負担)が比較的少なく、かつ質の高い卵を採取する目的から、低刺激周期採卵を基本としています。

1)自然周期
原則的に排卵誘発剤を使わずに発育してくる卵胞(ほとんどの場合は1個)より採卵をする方法です。本来自然に排卵するべく発育してきた卵胞より採卵しますので、質の高い卵子が回収される事も多いです。一方、回収された卵子が受精・分割の途中で発育を停止した場合はその周期がキャンセルとなりますし、予期しない排卵が起るために採卵ができない事もあり得ます。
2)低刺激周期
排卵誘発剤の錠剤を毎日内服していただきながら、少量の排卵誘発剤の注射を併用することにより発育してくる卵胞から卵子を採取します。通常、 採卵できる数は1~3個程度です。 排卵誘発剤の連日の注射や、GnRHa(スプレキュアスプレーなど)の併用は行いません。注射の排卵誘発剤を大量に使用する事が無いため、体への負担が少なく、したがって採卵を毎周期続けていくことも可能です。自然の排卵を押さえていないため、採卵のタイミングを見つけることが難しいという欠点がありますが、即日結果のわかるホルモン検査によって、予期しない排卵はほとんどの場合回避されます。
3)刺激周期
排卵誘発剤の連日注射を行い、多数の卵胞を発育させる方法を総称して刺激周期といいます。GnRHa(スプレキュアスプレーなど)を併用することが多く、一回に多数の卵子が採取できます。しかしながら、この誘発法を毎月続けることは色々な理由より好ましくありません。また、卵巣が大きく腫れてきやすいなどの欠点もあります。したがって、通常は一回排卵誘発を行うと 二周期ほど治療を休む必要があります。

■採卵

経膣超音波ガイド下に卵胞を穿刺し、卵子を採取します。穿刺針はかなり細いものを使用していますので痛みも少ない上に副作用もほとんどありません。

■培養

通常の2~3日目胚までの培養の他に、5~6日培養して、胚盤胞まで到達させる事も行なっています。

■胚移植

胚移植

当院では子宮内膜や頚管の状態によりこの2法を使い分けております。

1)経頚管的子宮内胚移植法
(TCET:transcervical embryo transfer)
子宮頚管よりカテーテルを挿入して移植を行います。当院では、経膣超音波ガイド下に行なう事により、より至適な位置に胚(胚盤胞)を移植する事が可能です。ほとんどすべての場合に適用されますが、時にカテーテルが挿入しづらい(できない)ことがあります。
2)トワコウ法[The Towako method ]
(Transvaginal-transmyometrial embryo transfer)経膣超音波
ガイド下に特製の胚移植用カテーテル(トワコウ針)を子宮内膜にめがけて穿刺し、胚移植を行います。
超音波で子宮の内膜が見え、針を刺す方向に障害物が無ければこの方法が適用できます。

■顕微授精:卵細胞質内精子注入法(ICSI)

顕微授精:卵細胞質内精子注入法(ICSI)

顕微授精は、通常の体外受精にても受精をしない乏精子症や精子無力症などに対して開発された授精法です。歴史的にみて顕微授精には何通りかの方法があります。しかし、現在ではその受精率の高さより 卵細胞質内精子注入法(intracytoplasmic sperm injection : ICSI)が主流となっております。

卵細胞質内精子注入法(ICSI)について

精子を一匹捕獲し、卵の細胞質に直接注入して受精させる方法です。かつては直接注入することの悪影響が懸念されておりましたが、現在までに各種の報告が全世界より出され、問題ないことが証明されております。

■アシステッドハッチングについて

移植した胚(胚盤胞)の着床率を高めるためにいくつかのアプローチがありますが、当院では、アッシステッドハッチングを行ない良好な成績をおさめています。特に胚盤胞移植の際に有効のようです。
アシステッドハッチングの方法にもいくつかありますが、当院ではより胚に対して愛護的と考えられるレーザーアッシステッドハッチングを行なっています。

■胚盤胞移植

近年、培養液、培養技術の進歩に伴い、胚盤胞移植が盛んに行なわれるようになりました。胚盤胞移植の利点は、いくつかありますが、当院では妊娠率を下げずに多胎妊娠のリスクを下げるという点に着目し、胚盤胞を1個のみ移植する単一胚盤胞移植を胚移植の基本法としています。結果は良好で、以前と比較すると格段に多胎の発生率が低下しました(もちろん妊娠率の低下もありません)。

■その他

遠赤外線療法
赤外線の中で比較的波長の長い3~1000ミクロンのものが、遠赤外線と呼ばれています。遠赤外線は、皮下の深い層の温度を上昇させ、血液循環を促進し、新陳代謝を高める効果があります。当院では遠赤外線治療器を用いて、子宮及び卵巣とその周囲の血流改善を促し、排卵誘発効果を高めたり、卵胞発育を促す治療を行っています。
低反応レベルレーザー治療(Low-reactiv Level Laser Therapy略してLLLT)
『低反応レベルレーザー治療(LLLT)』は、弱いレーザー光の力によっておこる細胞レベルでの新陳代謝の活性化、また組織・臓器レベルでの血行改善や新生血管の増殖等を期待して行う治療法です。挙児希望をサポートする目的で首の部分と下腹部にレーザーをあてる事により治療を行っています。脳血流が盛んになることにより、脳下垂体やその他、不妊治療に関与するホルモンの分泌器官や生殖器をつかさどる中枢神経への影響を期待できます。また、首及び下腹部にあてる効果としてはレーザーの可視赤色光や赤外線光がミトコンドリアや細胞膜を活性化し、細胞分裂や分化へつながることが考えられます。全身の血流を改善させることで全身のバランスをよくして全身の代謝を改善させ、局所の効果としては子宮や卵巣の新陳代謝を活発にすることが期待できます。